GX-ETS・SSBJ・クレジット制度──2025年脱炭素トレンドの“次の一手”とは?

投稿日: 2025年7月17日

【画像】GX-ETS・SSBJ・クレジット制度──2025年脱炭素トレンドの“次の一手”とは?

2025年5月、GX推進法の改正が成立し、2026年4月1日からの施行が決まりました。
改正法では「GX-ETS(排出量取引制度)」の制度化や、GX先行投資支援のための国債発行など、新しいルールが決められています。

また、2025年6月、金融庁は「SSBJ」の最終草案を公表するなど、企業が脱炭素に関連して対応すべきルールは日を追うごとに具体化しています。

2025年3月に開催された伊藤忠エネクスのウェビナーでは、これらの制度概要や事例を紹介しました。
本記事では、同ウェビナーの内容をアップデートしながら、サステナビリティ推進担当が今“動くべき一歩”を整理します。

 1. 排出量取引市場の制度設計が進展中

改正GX推進法の可決により、GX-ETSは2026年4月からの施行に向けて準備が本格化。2025年7月には、事業者登録や排出枠配分ルールに関するガイドラインが公開され、取引制度の詳細な運用設計が明らかになりました。

GX-ETSは、CO2の直接排出量が3カ年の平均で10万tを超える企業が対象となり、毎年の排出量に応じた排出枠の取得・償却が求められます。火力発電事業を手掛ける電力会社や石油元売り、製鉄・セメントなど素材製造のほか、自動車や自動車部品の大手メーカーなどCO2排出量が多い国内300~400社が対象となる見込みです。

また、JクレジットやJCMの利用上限は「排出義務量の10%まで」とする方針案が提示され、クレジット依存への一定の制限も明文化されています。これは、企業の温室効果ガス削減努力を促す一方で、過度なクレジット依存を防ぐための措置です。
価格変動の制御についても、試行段階においては「上限5,000円/t、下限1,500円/t」といった参考価格レンジが示されました。

こうした枠組みは、排出コストの見通しを企業側が設計可能とする環境を整える狙いがあります。

【参考URL】
改正GX推進法が成立 10万t排出企業に排出量取引制度の参加義務付け | ESGグローバルフォーキャスト
GX推進法と成長志向型カーボンプライシング : みずほリサーチ&テクノロジーズ

2. クレジット制度はどう使い分けるべきか?

制度化が進む今、カーボンクレジットの活用は「技術」から「戦略」へと変化しています。
脱炭素施策として注目されるカーボンクレジットですが、その種類と活用方法を正しく理解することが重要です。

現在、GX-ETS制度に利用可能な代表的なクレジット制度は以下の2つです。

  • Jクレジット制度
    日本国内での再エネ導入、省エネ設備の導入、森林吸収などによる排出削減・吸収を認証する制度です。
    国産由来で信頼性が高く、地域貢献型のスキームも豊富に存在します。
  • JCM(共同実施メカニズム)
    日本とパートナー国の二国間協力により、途上国でのCO₂削減を評価し、日本企業の排出削減に算入できる制度です。
    2025年6月時点で対象国は29カ国に拡大され、アジア・アフリカ・中南米など多様な地域が網羅されています。

さらに、JCMの対象国拡大や新プロジェクト登録制度が追加され、企業のJCM参画がより現実的になっています。

  • 設備投資への補助金制度(環境省による最大50%支援)
  • 方法論・審査手続の簡素化により、申請負担の軽減
  • 民間資金を活用した新たなプロジェクト創出支援

これにより、初期コストの課題や制度の複雑さが大きく緩和され、中堅企業や地方企業でもJCMプロジェクト参入が可能になりつつあります。
調達先、用途、開示の整合性まで見据えた“全体戦略”としてのクレジット活用が、これからの脱炭素経営のカギを握ります。

【参考URL】
脱炭素移行に向けた二国間クレジット制度(JCM)促進事業

カーボンクレジットについては、以下の記事で紹介しています。

カーボンクレジットとは?種類別の活用法を解説

3. 情報開示基準の変化──SSBJとIFRS S2

サステナビリティ情報開示においても、大きな変化が起きています。
2025年6月、金融庁よりSSBJの最終草案が公表され、2026年3月期決算からの適用がほぼ確定しました。

特に注目すべきは、IFRS S2に対応する形で、スコープ3排出量の開示やカーボンクレジット利用方針の明記が義務化される点です。
今後は「どんなクレジットを、どの程度、どのような基準で使用しているか」を投資家や市場に対して説明する必要があります。

これは、財務・サステナビリティ報告の一体化(インテグレーテッド・リポーティング)が世界的な潮流になっていることの表れです。
つまり、脱炭素対応はもはや自社だけで完結する業務ではなく、対外的な信頼構築の一環へと進化しているのです。

【参考URL】
SSBJがサステナビリティ開示基準を最終化

4. 脱炭素対応が企業価値を左右する時代へ

SSBJやGX-ETSが整備される背景には、「脱炭素が企業の信用力を左右する」という構造変化があります。
ESG評価やグリーンファイナンスにおいて、脱炭素方針と実行の整合性がスコアリングに直結するようになってきました。

また、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる時代において、大企業から中小企業への“連鎖的プレッシャー”も生まれつつあります。
今や、「取り組む/取り組まない」の選択ではなく、「いつ、どの方法で、どの範囲まで実行するか」が問われるフェーズです。

5. まとめ:最初の一歩は“燃料”から──クレジット活用の現場解決策

脱炭素施策において、“クレジットをどう使うか”という問いに対し、すぐに実行可能な選択肢が存在します。
その一つが、燃料使用にともなうCO₂排出をカーボンクレジットでオフセットする「カーボンニュートラル給油カード」です。

このカードは、給油と同時にCO2の排出量をオフセット後ゼロにする仕組みを採用しています。
スコープ1排出への対応が課題となる物流業界や営業車両を持つ企業にとって、制度にも適応しやすく、現場でも使いやすい手段として活用できます。

「何から始めるべきか迷っている」「制度対応と現場のギャップを埋めたい」
そんな企業様にこそ、ぜひ本サービスをご検討いただきたいと思います。


Webサイトより詳しく解説しています。

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