『SBT』とは?メリット・デメリットから導入の流れ、他社事例まで徹底解説

投稿日: 2025年3月19日

【画像】SBTとは

本記事は、サステナビリティ推進の担当になりたての方向けに、『SBT』の基礎的な内容をご紹介します。

環境関連の法制度や枠組みは数が多く新設や改廃のスピードも早いため、新しく業務を担当する方にとっては「用語を覚えること」が最初の課題になるのではないでしょうか。

本記事では、環境関連の枠組みで、最初に覚えておくべき用語の一つである『SBT』について取り上げます。

1. はじめに:SBT(Science Based Targets)とは?

SBT(Science Based Targets)とは、科学的根拠に基づいた温室効果ガス(GHG)削減”目標(イニシアチブ)”のことです。企業が国際的な気候変動対策の目標(パリ協定など)に沿った削減計画を策定し、持続可能な成長を目指すための基準として設定されています。

また、「SBTi(Science Based Targets initiative)は、企業のGHG削減目標が科学的に適正であるかを評価・認証する”国際機関”を指します。CDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4機関が共同で運営しています。

【画像】CDP,UNCG,WRI,WWFについて

出典)環境省『SBT(Science Based Targets)について』

環境関連のイニシアチブでSBTとよく混同されがちなRE100・TCFD・CDPについては、下記の表を参考してください。

【画像】SBTとRE100,TCFD,CDPの違い

【参考URL】

SBTi ※英語です

CDP

RE100 ※英語です

 2.SBTを取得するメリットとデメリット

SBTは、企業が「科学的に正しい削減目標」 を設定し、実際に削減を進めるための基準を提供します。基準がしっかりしているが故に、SBT認証の取得にはメリットとデメリットがあります。

2-1. メリット

投資家評価向上:ESG投資の重要指標となり、資本市場での評価が高まる可能性があります。

サプライチェーン強化:取引先やパートナー企業の環境基準適合が求められる場合があります。

ブランド価値向上:環境配慮企業としての評価が向上し、消費者の信頼を得やすくなる可能性があります。

2-2. デメリット

コスト・リソース負担:データ収集、排出量算定、外部認証取得に費用と時間がかかります。

目標達成リスク:目標達成のための具体策が不十分だと、認証の維持が難しくなります。

規制対応の複雑さ:SBT認証に適合させるための業務プロセス見直しが必要になります。

 3. SBT認証の取得は必要?判断基準と費用対効果

3-1. SBTを導入すべき企業の特徴

業種・規模:大手企業やグローバル展開する企業は必須に近くなっています。
既存の環境対策:GHG削減目標を既に設定している企業は取得しやすい傾向にあるため、”ついで取得”を目指す企業が多くなります。

3-2.  SBT取得の費用

SBT認証の取得には、データ収集、認証、報告書作成の各費用が必要です。

通常のSBT認証申請費用:約140万円(9,500米ドル)
中小企業向けSBT認証費用:約15万円(1,000米ドル)
コンサルティング支援費用:10万円~100万円(企業規模や支援内容による)

環境省がSBT認証企業一覧(P.66~)を公開しており、企業の認証動向を確認できます。また、同記事内ではコストや手順についても詳細に記載があり(P.98辺り)、一度目を通しておくことをオススメします。

【参考URL】

環境省『SBT(Science Based Targets)について』

4. 日本のSBT認証企業(2025年最新)

4-1. アスクル株式会社

SBT認証を目指した背景
アスクルは、日本の大手EC・物流企業として、環境負荷低減に取り組んできました。しかし、近年、サプライチェーン全体の脱炭素化が業界全体での競争力を左右する要素となり、取引先や顧客からの環境配慮要請が強まりました。そのため、企業として信頼を得るために、SBT認証取得を通じた明確なGHG削減戦略を策定する必要がありました。

SBT認証取得に向けた取り組み
アスクルは、2021年にSBT認証を取得するため、以下の施策を実施しました。

再生可能エネルギーの導入:物流センターへの太陽光発電設備の設置。
配送の効率化:AIを活用した最適配送ルートの導入により、CO₂排出量の削減。
サプライチェーン全体での脱炭素推進:取引先企業と連携し、持続可能な資源調達を推進。

結果と影響
「SBT認証の取得後、アスクルは環境対応の取り組みを強化し、企業評価機関によるESGスコアの向上につながりました。

【参考URL】

PR TIMES『アスクル、SBT「ネットゼロ認定」を取得』

アスクルが目指す環境経営

4-2. 協発工業株式会社

SBT認証を目指した背景
協発工業は、自動車部品の製造を手掛ける中堅企業であり、カーボンニュートラルに向けた業界の変化をいち早く察知していました。自動車メーカーのサプライチェーンの一員として、CO2削減が求められるようになり、競争力維持のためにSBT認証取得が不可欠となりました。

SBT認証取得に向けた取り組み
協発工業は、2021年にSBT認証を取得するため、以下の取り組みを実施しました。

エネルギー効率の向上:2021年に工場の統合を行い、年間2.5トンのCO₂排出量削減を達成。
物流の効率化:配送ルートの最適化により、輸送時のCO2排出量を削減。
設備の最適化: コンプレッサの吐出圧を低減することで、0.6トンのCO₂排出量削減を実現。

結果と影響
これらの取り組みにより、協発工業は2030年までに2018年比で50%のGHG排出量削減という目標達成に向けて着実に進んでいます。

協発工業の事例は、中小企業がSBT認証を取得し、具体的な施策を通じてGHG排出量削減を実現している好例です。環境対応が企業の競争力強化や新たなビジネスチャンス創出につながることを示しています。

【参考URL】

経済産業省 中部経済産業局 事例紹介

協発工業サイト

5. SBT取得の流れ

申請プロセス

  1. 目標設定(GHG排出量データ収集)
  2. SBTi審査(認証基準に適合しているか評価)
  3. 認証取得(正式なSBT認証を取得)
【画像】SBT申請の流れ

出典)環境省『SBT(Science Based Targets)について』

必要なデータと社内準備

• GHG排出量の算定方法:Scope1, 2, 3の計測。
• 経営層の理解と承認。

より詳細な手順と認定の基準(要件)については、こちらも環境省のまとめ資料(P.91~)が分かりやすいと思います。

6. まとめ

SBT認証は、企業の環境戦略において重要な要素です。認証を取得することで、企業価値の向上や投資家からの評価向上が期待されます。SBTやカーボンクレジットなど、環境対策について話を聞きたい方や資料をお求めの方は、お気軽にお問合せください。


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