投稿日: 2025年2月21日
近年、ESG投資や国内外の規制強化により、企業ではカーボンニュートラルに向けた取り組みが積極推進されています。
本記事では、製品プロセス全体でCO₂を排出する製薬業界の脱炭素戦略を、他社の成功事例を交えてご紹介します。
製薬会社として脱炭素化に向けてどのように取り組むか、他社ではどんな取り組みをしているのか、ぜひご参考ください。
1. はじめに:製薬業界が今すぐ取り組むべき脱炭素化とは?
製薬業界は、医薬品の研究開発や物流を含む幅広いプロセスを通じて、多くのエネルギーを消費し、温室効果ガス(GHG)を排出しています。
特に、原材料の調達や生産工程でのエネルギー使用は、業界全体のカーボンフットプリントの大きな要因となっており、サプライチェーン全体での削減が求められています。
2. 温室効果ガス削減のための具体的な方法は?
事例紹介の前に、製薬業界で採用できる脱炭素化の具体的な方法をいくつかご紹介します。
1.再生可能エネルギーの導入:製造拠点や研究施設において、太陽光・風力発電の利用を拡大する
2.エネルギー効率の向上:最新の省エネルギー技術を導入し、設備の最適化を図る
3.グリーン物流の推進:EV車の活用など、環境負荷の少ない輸送手段を採用する
4.サプライチェーン全体の最適化:原材料調達から廃棄に至るまでのサプライチェーン全体を見直す
5.カーボンクレジットの活用:削減が難しい排出量をオフセットするために、信頼性の高いカーボンクレジットを購入する
カーボンクレジットについては、過去の記事(カーボンクレジットとは?種類別の活用法を解説)にまとめてありますので、よければご覧ください。
3. 【製薬業界】各社の成功事例3選
以下、製薬業界における脱炭素化取り組みの他社事例を紹介します。
3-1. アステラス製薬株式会社
◆目標と取り組み:
アステラス製薬は2015年を基準に、Scope1、2、3の温室効果ガス排出量を2050年までに90%削減、10%の残余排出量を目標に掲げています。
研究及び生産拠点で、都市ガスやLPG、LNG(液化天然ガス)を燃料としたボイラーを採用し、温室効果ガス排出量を削減しています。
営業用車両のハイブリッド車や電気自動車へ切り替えを進め、営業活動においても排出削減に取り組んでいます。
また、監査等委員でない取締役(社外取締役を除く)の賞与の評価指標に、新たにサステナビリティ指標を組み入れ、より社内における環境意識の上昇に努めています。
◆成果:
2023年度のCDP「気候変動」分野において最高評価となるAリストに選定されたほか、複数のESG評価媒体で高評価を得ています。
【参考URL】
3-2. 小野薬品工業株式会社
◆目標と取り組み:
小野薬品工業はScope1、2の排出量について、2025年にカーボンニュートラル達成(ボランタリークレジットを活用した実質ゼロ)、2035年に排出量0を目標に掲げています。
温室効果ガス排出量の削減方針として、「回避(エネルギーを使用しない仕組み作り)」「削減(省エネルギー活動の推進)」「代替(再生可能エネルギーへの切り替え等)」「相殺(ボランタリークレジット活用によるオフセット)」の優先順位で、段階的にアプローチしています。
【参考URL】
◆成果:
段階的な排出量削減の方針により、2018~2023年度のCDP「気候変動」分野において最高評価となるAリストに選定されたほか、複数のESG評価媒体や自治体に高評価を得ています。
【参考URL】
3-3. 高田製薬株式会社
◆目標と取り組み:
高田製薬は、2030年度までに2018年度比48.8%削減、2050年度CO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)達成という目標を掲げています。
再生可能エネルギー100%電力を積極的導入しており、2022年4月には本社および全工場へ再生可能エネルギー電力を導入しました。
カーボンクレジットを活用した法人向け給油カードを2024年4月より導入し、ガソリン使用によるCO₂排出量オフセット後ゼロを達成しています。
Scope1の削減策として、伊藤忠エネクスの「カーボンニュートラル給油カード」を導入いただき、ガソリンや軽油の使用に伴う温室効果ガスをオフセットしています。
◆成果:
気候変動を含むサステナビリティ全体の取り組みが評価され、多様な外部認定を受けています。
【参考URL】
4. 規制対応のポイント
脱炭素化を進める上で、環境規制に対応することも重要な観点です。日本国内の環境規制は以下のようなものがあります。
1.温対法(地球温暖化対策推進法): CO₂排出量の報告義務
2.省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律):エネルギー消費量の削減計画提出
3.カーボンプライシング制度:CO₂排出にコストを課す仕組み
カーボンプライシングについては、2026年から排出量取引制度(GX-ETS)が導入予定であり、炭素税導入の可能性も示唆されています。
【参考URL】
GX-ETSについて詳しく解説したウェビナーはこちらです。ご興味あればぜひ下記よりご視聴ください。
5. 導入しやすい脱炭素ソリューション 3つの選び方
脱炭素化推進のために、実行しやすいソリューションの選定には以下のポイントがあります。
5-1. 低コスト
例)電力会社との契約をグリーン電力に切り替える
5-2. 環境規制に対応
例)排出量の見える化ツールを導入し、監査対応をスムーズにする
5-3. 即効性
例)信頼性の高いカーボンクレジットを活用したサービスで、排出された温室効果ガスを即座にオフセットする
6. まとめ
製薬業界における脱炭素化は、企業の競争力を高める重要な要素です。
再生可能エネルギーの導入、サプライチェーンの最適化、カーボンクレジットの活用など、具体的な対策を講じることで、企業の持続可能性を高めることができます。
まずは導入しやすい脱炭素ソリューションから、取り組み始めてみませんか。
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